7日目 飛行機、家路
やれやれ。Alamoレンタカーのぼったくり体質にゲンナリしたりとか、コナ空港のセキュリティーで、うっかりバックにお水を入れっぱなしにしてしまって、ボディチェックを受ける羽目になってしまったこととかのトラブルはありつつも、なんとか乗り込んだ。
よし!今回は一列占領して寝転がるぞ!と、意気込み、最後に乗り込んで、ちゃっかり後方の空いている列を占領しようとしたのだが、失敗した・・・。バレてしまった・・・。くそ!こういう時の日本人は、ひどく意地が悪い。
本来の席へ戻る。隣は、なかなかにいい少年だ。
ま、ブスなババアに囲まれて一列占領するよりも、素敵な少年の隣の方がいっか!とプラスに考えてみる。
最初、日本人かと思ったのだが、ハワイの人っぽい。
とにかく素敵なオーラをしていたのです、この少年。
ひとり旅かひとり移動かな?と思っていたら、どうやら前の白人おばさんと白人娘と一緒らしい。
で、この少年、飲み物とかお水を一切もらわず断るのだ。
サンドイッチの袋が配られた時も、サンドイッチの袋の上にチョコンと載ってるチョコレートを一つだけ取って、スチュワートさんに笑われてしまったり、とにかくひどく遠慮がち。
白人娘が「ボールペン貸して」というと、ササッと貸して、じっと待っている。
とか色々、他の行動などを総合して私は判断したのだが、きっと養子なのではないか。
で、なぜかモニターをハングル表示にしていた・・・。話す言葉は英語でパスポートもアメリカ。見かけは完全な東洋人で、暗めのスケボー少年風。
私は、そうだ!この親子のところの養子なんだ!と勝手にもう直感的に判断してしまった。時間をかなり共にしているような親和感があったりなどして。
映画は「君の名は。」を見ていた。それ以外は見ずに、イヤホンで音楽を聴いていた。
なんだか妙に気になってしまう。
やはり素敵なオーラの人って、人にこういう好奇心を与えるのだなあ。
なんか、着ているジャージさえ、高貴に思えてしまう。
やっぱり素敵なオーラを出すような人は、生い立ちが複雑なんだよなあ。
そんなことを考えた。
ハワイアン航空のおつまみスナックが美味しかった!
飯はまずい・・・。サンドイッチは美味しかった。
少年に私の好奇心を感じさせては申し訳ないと思い、映画に集中。
行きの飛行機で「きっと星のせいじゃない」っていうのを頑張って1時間見たけど、どうにもやっぱり面白くなかった・・・。
ファンタジックビーストという魔法シリーズを見る。主人公がかっこよく、衣装が素敵だった!
それから私も「君の名は。」を。2度目だったが見た。また新鮮に思えたことなどもあった。
ひとりでまた感動して、ちょっと涙が出る・・・。
目に涙を溜めてエンドロールを見ていたら、少年が私のことを見ていた。
私も何かオーラを発しただろうか・・・。
「袖触れ合うも多生の縁」「一期一会」といいます。
なんだか私は、心の中でこの少年に「がんばれ!がんばれ!苦しんだものが最後は勝つんだ!がんばろうね!」とエールを送っておりました・・・。届いたかなあ。
私たち、人生の中で、8〜9時間を、隣同士で過ごしたのは、かなりの縁でありましょう。
そして、あっという間に羽田へ・・・。
また退勤時間と少し被ってしまった。
もう私はヨレヨレの格好で、異様なオーラを発していたのでありました。
いつだったか、かなり昔なのだが、もう10年以上前、韓国の空港で、どっか遠くから帰って来たと思われる青年が、ヨレヨレっていうか部屋着のような格好で、首には枕を巻きつけて、でっかい布の旅行カバンをひいていた姿がすごく印象に残っていたんだけど、まさにあんな感じ。枕こそ巻きつけていなかったけど。
おい、ここはあんたの家なの?っていう・・・。
はあ、それで何か文句あります?って感じ。
“身だしなみ”とかいうのも、よくわからなくなってくるのですよね。
例えば私がヨレヨレでもさ、考えてみて?
ブワブワのスカートとかさ、スカンチョだかなんだか知らんけど、パジャマみたいなズボンを履いてたり、っていうのは、あれは流行りで他にも履いている人がいれば、パジャマとはならないわけですか?
変な格好も、流行りならまかり通る、集団ならまかり通る。っておかしくない?
わたくし母親から、「それで電車に乗らないでね」って、ある程度しつけられて育ちましたが、この娘はもう、それを遥かに超えたこんなヨレヨレで電車に乗っているのですよ。知らぬが仏。
もうなんでもいいや。
電車がなんだっていうの?
所詮電車なんぞ、庶民の乗り物だろうが。
いや、人を不快にさせちゃいけねえですよ、お客さん。
とはいえどもね、私のヨレヨレよりも、目に毒な人間なんて、ぎょうさんいるんですけど。
そういう問題じゃないだろが、ってことなのか、もう私には分からない。
昔っから、この世界の、特に日本の、ルールには何かこう、??で、反発心とかじゃなくて、その、常識みたいなものが、そっくりそのまま欠落してしまっていて、理解ができないのです。理解する素養がないのです。
いくら芽を撒きましても、それが私の中で芽を出すことはないのです。
そんなこんなで、「ヨレヨレの私=結構イケてる」っていう、私だけの変な価値観でもって、家路につくのでした。
帰って来ちゃったね。
行く前は、実は少し高跳びの気持ちだったのだ。
ひとりで左ハンドル運転して、ビュンビュンやるなんて。
でも、帰って来てしまったら、なんだったんだろう。
それどころか、この1週間の、ハワイでの暮らし、思い出そのものが、もうすでにどこか他人事のような気分になってしまうのでした。